オマージュ・パロディのボーダーライン

著作権侵害?パロディ・オマージュがパクリになるボーダーラインとは?

モンスターVSモンスター映画が好きな黒い巨匠です。
メディアサイトの運用をするBREEZEでは著作権や引用のルールについても日々学習しています。
前回はトレース・パクリ略してトレパクについての記事を作成しました。

最近も「パロディ画像を作りたい…しかしパクリだと言われたら…」と気になって色々調べたので、今回はパロディ・オマージュがパクリになるボーダーラインについて記事にしたいと思います。

オマージュ

尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。
オマージュ | wiki


最近でいうと「ララランド」がミュージカル映画のオマージュシーンがちりばめられているということで話題になりました。漫画だと「ブラックジャックによろしく」が有名、本編にはブラックジャックは出てこず、どんな意図がタイトルにあるのか想像してしまうクールなオマージュですよね。

パロディ

パロディは文学や音楽、映画を含めたすべての芸術媒体に存在する。替え歌や本歌取りもパロディの一形態である。文化活動もまたパロディの素材となる。
パロディ | wiki


漫画だと公式パロディの「北斗の拳イチゴ味」(北斗の拳はマッドマックスのオマージュ)漫画もアニメも攻めたパロディを連発する「銀魂」、映画だとゾンビ映画のワンシーンやメタネタのパロディが沢山詰まった「ショーンオブザデッド」がおすすめです!(?)

パクリ

既存のものに似た作品やネタを作ること、あるいは極めて似た作品やネタを発表すること(ネタをぱくった、など)。
ぱくり | wiki


パロディ/オマージュとパクリの明確な違いは、本物だと見せかける・主張する点です。

でも…パクってもバレたら「これはオマージュ・パロディ!」と後出しで言っちゃえば許されるのでは?って気付いちゃった賢い方もいるのではないでしょうか。

そこにでてくるのが「オリジナリティ」「クオリティ」です。
元作品から新しい別の作品へと昇華させていなければ、自分が認めても世間にパロディ・オマージュであると認められず「パクリ」になってしまいます。
そう、ただ真似をしただけの作品ではパクリにすぎません。

パロディとオマージュは法的にどうなの?

著作権は権利者が告訴しなければ起訴できない親告罪ですので、権利者が黙認している限り著作権の侵害にはなりません。ただし悪質性や権利元によっては非親告でも著作権の侵害であると認められる事もあるので注意。

パロディ/オマージュに対するユーモアや芸術性を権利者が許容してくれているのが現状で、許容されなかった場合のリスクは負わなければいけないことを認識しておきましょう

パロディ/オマージュがどんなに芸術的でも日本の法律では保護(定義)されておらず、起訴された場合ケースバイケースではありますが著作権の侵害の有無のみで判断されます。
白い恋人のパロディ、面白い恋人事件が有名です。
参考:「白い恋人」vs.「面白い恋人」事件 | ウエストロー・ジャパン

2022/3追記
近年著作権関係の法改正が何度か行われており、定義が進んできているようです。

同人誌は便乗商法

また同人誌はパロディでもオマージュでもパクリでもなく、「便乗商法」になります。ファンのすることだからと権利者が黙認してくれているのが現状で、起訴されたらアウトです。
同人誌に関わる事件で特に有名なのがポケモン事件、この件はよくまとめられているwebサイトが沢山あるので興味のある方は調べて見てください。
参考:ポケモン同人誌著作権問題関連 | 同人誌生活文化総合研究所

作品と同人作家を守るため、二次創作のガイドラインを掲示してくれている権利元も増えてきました。
ガイドライン掲示の走りはFGOや東方でしょうか。
参考:二次創作に関するガイドライン | FGO PROJECT
参考:東方Projectの版権を利用する際のガイドライン | 博麗幻想書譜

事例memo

「イベントに公式画像を使った手作りの服を着ていいか?」と権利元に問い合わせをしたファンに「NG」と権利元が回答し、今まで暗黙の了解で許されていた手作りの服でのイベント参加が禁止になったなんて話を耳にしたことがあります。
あえてグレーにしてくれている権利元さんでも「勝手にグッズ作っていいですか?」と聞かれては「YES」とは言えません、便乗商法を公認することにもなり得ます。
権利元に迷惑をかけたく無いが為にとったファンの誠実な行動が愛情表現の幅を狭めてしまったというお話でした。

結局パクリになるボーダーラインって?

こちらはBREEZEの記事用に作成した画像です

弊社の代表が大好きで録画までしている某ビジネス番組のパロディですね。
前回記事の復習ですが著作権の有る画像を勝手にトレースして公開することは著作権違反なのでNG。なので、ロゴも知ってる人が見たらクスっと笑えるくらいのそれっぽさで作りました。

  • 本物だと勘違いさせない程度に改変
  • 本物だと誤解させて販売するといった目的

以上2点がなければ基本的には大丈夫ですが、権利元によって例外もありますので事前に調べておくと安心です。

パロディ・オマージュは「作品」として認められなければ著作権侵害になる可能性があるものと心得、万が一権利元に注意されたらすぐに謝罪し削除しましょう。

ここまで読んでもまだよくわからない、という方にはインターネットで話題になった名言を贈ります。

  • バレると嬉しいのがオマージュ
  • バレないと困るのがパロディー
  • バレて困るのがパクリ

う〜んわかりやすい!

まとめ

ただひたすらに作品作りだけできればいいのですが、創作者として知っておかなければならない事がたくさんあり大変…。
のびのびと作品作りができる様にしっかりと学んでいかなければなりませんね。

追記:関連記事もぜひみてみてください!

作者情報

フロントエンドエンジニア兼デザイナー、絵を描くのが好き。
趣味はホラー作品鑑賞と怪談話を聞く事。激辛グルメが好き。