公開日2022.07.14
最終更新日2022.10.05
ITパスポートを勉強していると頻繁に出てくるワード「プロトコル」。
聞いたことはあるけれど、いまいちピンとこない…。
そんな初心者さんのために、プロトコルについてわかりやすく解説していきたいと思います!
▼プロトコルって何?
プロトコルとは…英語で「手順」「手続き」「外交儀礼」などの意味を持つ単語です。
すなわち「お約束」。
IT用語になっても、ニュアンスはそんなに変わりません。
「信号やデータ、情報の送受信について定められた約束事」それがプロトコルです。
▼何のためにあるの?
コンピュータの内部にはたくさんの回路や装置が内蔵されています。
また、私たちは普段様々なソフトウェアを用いてインターネットの膨大な情報に触れていますよね?
そうしたコンピュータ内部の回路~装置間、インターネット上のコンピュータ同士の通信を円滑に行うために、それぞれの分野で定められた共通の約束事「プロトコル」を使う必要があるのです。
▼もしもプロトコルがなかったら…
プロトコルが定められていなかったら一体どうなってしまうのでしょうか…?
共通の約束事がない、つまりメーカーや機器ごとに通信のルールが変わってしまうことになります。
そうなれば同じタイプのメーカー、機器との間でしかデータのやり取りができなくなってしまうのです…。
「言語」を例にイメージしてみよう!
いろんな言葉が飛び交う国があります。
その中で「日本語」を話す人は、同じ「日本語」を話す人と楽しく会話ができます。
こんにちは!
こんにちは!
ところが、もし相手が「フランス語」や「ロシア語」を使っていたら…?
Привет!
なんて言ってるの??
会話がぐっと難しくなってしまいますよね…。
こうした問題を解決するために、国全体に英語という「共通語」を設けるとします。
この「共通語」が、通信におけるプロトコルの役割なのです!
▼階層構造について
先ほどはプロトコルを「言語」に例えましたね。
言語において共通語は「英語」のみでしたが、通信における共通語「プロトコル」は分野ごとにたくさん存在し、それらが何層にも組み合わさって1つの体系を成しています。
ここでは階層構造を成すプロトコル体系のうち、代表的な2つの構造について解説していきます。
OSI基本参照モデル
OSI基本参照モデルとは、国際標準化機構によって定められたネットワークの標準化規格のことです。
通信プロトコル体系について7階層に分割し、それぞれの機能を定義しています。
第1層:物理層 | 電気信号、光、電波など、データを送るための物理的な機能を実行する。 |
第2層:データリンク層 | 隣接した機器同士のデータ伝送制御を行う。 |
第3層:ネットワーク層 | IPアドレスを利用し、特定の相手に最適な経路でデータを送信する。 |
第4層:トランスポート層 | 機器同士の高品質なデータの転送を可能にする。 |
第5層:セッション層 | アプリケーションの通信開始~終了までの手順を担う。 |
第6層:プレゼンテーション層 | データの表現形式を標準のものに変換する。 |
第7層:アプリケーション層 | 個々のアプリケーションと通信機能のインターフェースを提供する。 |
TCP/IP
TCP/IPとは、世界で最も使われている通信プロトコル体系のことです。
OSI基本参照モデルがプロトコルの機能について7階層に分割しているのに対し、TCP/IPは4階層に分割しています。
インターネットで利用される機器、ソフトウェアは全てTCP/IPに準拠しており、OSI基本参照モデルに代わって事実上の標準規格となっています。
TCP/IPの階層構造 | OSI基本参照モデルの階層構造 |
第1層:ネットワーク・インターフェース層 | 第1層:物理層 第2層:データリンク層 |
第2層:インターネット層 | 第3層:ネットワーク層 |
第3層:トランスポート層 | 第4層:トランスポート層 |
第4層:アプリケーション層 | 第5層:セッション層 第6層:プレゼンテーション層 第7層:アプリケーション層 |
▼プロトコルの種類
通信プロトコルは先ほどの階層構造にのっとり、各層ごとに存在してそれぞれの役割を担っています。
ここでは、TCP/IP構造における各階層ごとの代表的なプロトコルについてご紹介したいと思います!
第1層:ネットワーク、インターフェース層のプロトコル
- イーサネット
有線LANの通信に関するプロトコル。
建物内において、コンピュータや電子機器をケーブルで繋ぎネットワークに接続する際に用いる。 - PPP
1対1の通信で安定したデータの送受信を行うためのプロトコル。
ルーター同士の接続や、モデムを介してPCをインターネットに繋げる際に用いる。
第1層:インターネット層のプロトコル
- IP
複数の通信ネットワークを相互に接続し、1つの大きなネットワークにできるプロトコル。
各通信機器のIPアドレスを元に、対象者へ正確にデータを伝送する。 - ICMP
IP通信の制御についてのプロトコル。
IPの機能を補完し、誤りを知らせたり通信状態を調査したりする。
第3層:トランスポート層のプロトコル
- TCP
上下階層プロトコルの橋渡しのような役割。
正確性、信頼性の高いデータ転送を行う。 - UDP
TCPと役割は同じ、ただし正確性よりも速度を重視したプロトコル。
動画や音楽のストリーミング、オンラインゲームなどで用いられる。
第4層:アプリケーション層のプロトコル
- DHCP
ネットワーク上の各通信機器にIPアドレスを割り当てるプロトコル。
この機能によって通信相手を特定できる。 - FTP
ネットワーク上のクライアントとサーバーの間でファイルを転送するためのプロトコル。
主にWebページの公開に用いられ、作成したHTMLファイルのアップロードや更新に利用される。 - HTTP
Webブラウザ~サーバー間の通信に関するプロトコル。
HTMLなどで作成されたファイルの送受信に用いられる。 - HTTPS
HTTPの通信を暗号化し、より安全に接続するためのプロトコル。
伝送途中のデータの盗聴を防ぐことができる。 - SMTP
メール送信用のプロトコル。
ソフトウェアからサーバーへ電子メールを送信する際に用いられる。 - POP3
メール受信用のプロトコル。
サーバーから電子メールを受け取る際に用いられる。 - IMAP
メールを受信、管理するためのプロトコル。
電子メールをサーバー上で保管することができる。
これはあくまで各層プロトコルの「一部」です。
実際はもっともっとたくさんのプロトコルが集まって通信を行っています。
ですが、上記の種類を覚えるだけでもプロトコルを用いた通信についての理解が深まったのではないでしょうか?
OSI参照モデルとは?TCP/IPとの違いを図解で解説 参考
令和4年 イメージ&クレバー方式でよくわかる栢木先生のITパスポート教室(2021年発行) 参考
▼まとめ
プロトコルは、情報の相互伝達の為にあらかじめ定められた約束のことです。
共通のプロトコルを用いることで、メーカーや機器の差異にとらわれず、すべての通信機器とのデータのやりとりが可能になります。
たくさんあって大変に思えるかもしれませんが、大丈夫です!
私を含め、皆さんはこの記事に書かれているプロトコルについてはもう覚えられたはずです。
これだけで随分と情報伝達の仕組みに詳しくなった…気がします!
そして、まだまだ広がるITの世界について、興味がわいてきませんか?
ぜひ私と一緒に、プロトコルの知識をもっともっと深めていきましょう!