キッティング業務とは?具体的な作業の流れや向き不向き【IT初心者向け】

IT業界で仕事をしていると「キッティング」という言葉をよく耳にします。

  • そもそもキッティングとは何なのか
  • 具体的にどんなことをするのか

IT業界未経験で転職した人やIT初心者の人にもわかりやすくまとめてみました。

キッティングとは

IT業界のキッティング

キッティング(kitting)は、仕事で使うパソコン(以下、PC)やスマホなどのデバイスをすぐに使えるように準備をする作業です。

PCやスマホを購入すると、設定をお願いしなければ、使い始める前に初期設定やアプリのインストール、ボタンの設定などの設定が必要になりますよね。細かい設定をしようとすると、とても長い時間がかかってしまいます。

この作業を専門に引き受けて対応するのがキッティングです。

物流業界では? イメージをつかもう!

いくつかの商品を1つにまとめて梱包して配送する物流の方式をキッティングと呼びます。

キッティング|BPO&アウトソーシング用語集

イメージは同じですね。

 梱包材をデバイスと思って、その箱の中に仕事で使うwordやExcelのアプリ、メールアプリを入れていく感じです。最後は、使用者の手元へお届けして作業完了です。

仕事をする上で、IT技術を使ったサービスを使って仕事をするのは当たり前の世の中。サービスを利活用するためには、デバイスの準備は必要不可欠です。キッティングはとても重要な作業です。

キッティング作業の流れ

設定する台数や使用するシステムによって作業の流れは違いますが、作業はこんな感じで行います。

  1. 設定するデバイスの準備
  2. デバイスのチェック
  3. OSのセットアップ
  4. アカウント作成
  5. ネットワークの設定
  6. 使用するアプリケーションのインストールと設定
  7. セキュリティソフトのインストール
  8. 設定チェック
  9. 管理番号の設定とナンバリング
  10. 管理台帳への記録

手順が多くて難しそうに見えますが、キッティング業務は、手順をしっかりまとめてマニュアルを見ながら作業をすることがほとんどです。

具体的にはどんな作業?

作業の流れ(PCのキッティングの例)

PCの作業を例に、作業の流れを見ていきましょう。小規模な会社で数台のPCを設定するイメージです。

1、設定するデバイスの準備

設定対象のPCを用意します。そのPCが行う業務に耐えられるスペックのものを選ぶことが望ましいですね。PC本体以外にも、付属品(モニターやキーボード、マウスなど)を貸し出す場合はセットで用意します。

2、デバイスのチェック

設定するデバイスがそろっているか、初期不良はないかしっかりチェックします。 

3、OSのセットアップ

デバイスの準備ができたら、PCを起動してOSのセットアップを実施します。業務で使用する場合、Windows10やWindows11などのWindowsOSである可能性が高いです。案内にしたがって設定を進めます。Windows11については別の記事で紹介しています。

4、アカウント作成

業務を行う作業者用のアカウントを準備します。
個人使用でない場合は、キッティング担当者が設定に使用する管理者用アカウントと個人用(ユーザー)アカウントを切り分けて作成します。

管理者用アカウントパソコンのすべてを管理できる・ソフトのインストールも自由
個人用(ユーザー)アカウント一般利用向け・機能に制限がかかっている

5、ネットワークの設定

どの無線LANへ接続するか、必要であればプライベートIPアドレスの設定を行います。

6、使用するアプリケーションのインストールと設定

Office製品(WordやExcel)、メールアプリ、画像加工アプリなどの業務で使用するアプリのインストールをします。必要であれば、すぐに業務ができるように各アプリの設定も実施します。

7、セキュリティソフトのインストール

OSにもセキュリティ機能は搭載されていますが、セキュリティ対策ソフトをインストールすることが多いです。

8、設定チェック

設定が終わったら、設定ミスがないか、思った通りの動きをするか確認をします。

9、管理番号の設定とナンバリング

設定に不備がなければ、パソコンに管理番号を割り振ってシールなどを張り付けて番号を管理します。

10、管理台帳への記録

デバイスのスペックやデバイスの設定情報、利用者情報などを管理台帳へ記録します。販売している分けではないので、しっかりデバイスを管理する必要があります。利用者へデバイスを引き渡して作業終了です。

スピーディーにキッティングの設定を行う工夫

1から10までの設定を一つ一つ順番に行うと時間がかかってしまいます。キッティング作業をスピーディーに行うための工夫があります。その一つに各設定を一括で行うプログラムを作成するものがあります。

アプリケーションの設定を一括で行うプログラムを作成しておいて実行させることで、キッティングの作業時間を短くできます。
Windowsの場合、バッチファイルと呼ばれるものを作成して実行するとアプリケーションのインストールやパソコンの詳細設定を瞬時にできて便利ですね。

業務は難しい?どんな人が向いている?

キッティング作業は、一見すると難しそうですが業務の難易度はそれほど高くありません。手順が明確で専門性のあるスキルはそこまで問われません。

作業手順が決められている

設定を一括で行うプログラムがあれば、簡単な手順で作業を終わらせることができます。先ほどもお話ししましたが、キッティング業務は、手順をしっかりまとめてマニュアルを見ながら作業をすることがほとんどです。専門的な知識はそこまで必要ではありません。

IT初心者でも始めやすい

作業手順も明確なので、IT業界初心者の方でも始めやすい仕事です。手順を守って作業をしつつ、マスターPCの作成や設定用プログラムを率先して作成すれば、そこから専門的な知識を身に着けていくことも可能です。

こんな人が向いている

始めやすい作業とはいいましたが、詳細な作業内容は働く場所によってまったく異なります。短い期間でたくさんのPCを行う必要がある大変な業務もあります。きついと感じる方もいるかもしれません。

どんな業務も向き不向きがありますね。

  • 決められた作業をしっかりこなせる
  • 単純作業が得意
  • PCやスマホの仕組みを1から学びたい

こんな方が、キッティング業務に向いていると思います。

まとめ

IT業界ではよく聞く「キッティング」。一般的には馴染み深くはないですよね。作業を経験すると、パソコンやスマホの知識も身に付くので、作業する機会があればぜひチャレンジしてください。

作者情報

気になった居酒屋には一人でも入店します。
初めてのお店でも常連と間違われる不思議な現象に見舞われることが…。
ビールをこよなく愛していますが、家では金麦派。