知ってて得するIT用語MasS編

2020年これから来るIT用語~MaaS~

今更ながら、新年明けましておめでとうございます。
年末に六時間かけて本棚の大掃除をして翌日筋肉痛で死にかけたつづりです。
新しい年になったということで、今回は、これから耳にする機会が増えていきそうな新しい技術や用語などをご紹介していきたいと思います。

第一弾は個人的にも気になっていた、MaaSについてです。
そもそもMaaSとはなんなのか、MaaSのレベル、MaaSのメリットと課題点、MaaSの実用例と大きく4つのブロックにて説明していきますので、どうぞよろしくお願いします。

MaaSとは

MaaSの概略

MaaSとは「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の略称です。直訳すると「移動のサービス」となります。では、どんなものなのか下記にウィキペディアから抜粋したものを記載しました。

Mobility as a Service(MaaS)とは、運営主体を問わず、情報通信技術を活用することにより自家用車以外の全ての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな『移動』の概念。

ウィキペディア より抜粋

毎回思うのですが、どうしてこう用語の説明は難しく書きたがるのでしょうか。なので、具体的な例を挙げてみましょう。

例えば、どこかに遊びに行こうと考えたとしましょう。スマートフォンのアプリを使えば、目的地までのルートや、どの交通機関を使えばいいのか、いくらかかるのか、などなど簡単に調べることができますよね。これだけでも十分便利ですが、MaaSはそのさらに一つ上の段階を行こうとしてします。

どういうことか、MaaSは目的地までのルート検索から、使用する交通手段の予約から支払いまでをアプリなどで一括にできるようにしようという取り組みなんです!
凄いですよね、実現したら交通の利便性が大きく変わることになります。

では次のところでMaaSのレベルについて説明していきましょう。

人の周りにバス、電車、飛行機などの乗り物が囲っているMaaSのイメージ画像

MaaSのレベル

前述した通り、MaaSの最終目標はアプリなどで目的地までのルートから、予約、支払いまでを一括でできるようにすることですが、残念ながらそのレベルまでにはまだまだ時間がかかるとされています。
とは言え、全くできていないというわけではありません。
MaaSには全部で5段階のレベルがあるとされており、スウェーデンのチャルマース工科大学では、以下のように分けています。

レベル0:統合なし

それぞれの移動手段が独立したままサービスを提供している状態。

レベル1:情報の統合

目的地までの移動手段や、所要時間、費用など各移動手段についての情報を事前に調べることができる状態。

レベル2:予約、決済の統合

目的地までに使用する複数の移動手段の予約、支払いを一括で行うことができる状態。

レベル3:サービス提供の統合

目的地までの移動手段に関わらず、距離ごとに一定の料金が決まっていたり、月額で指定範囲内の移動手段を使うことができる状態。

レベル4:政策の統合

交通システムにおいて、国や自治体、交通業者などが政策レベルで協調していく状態。

日本は電車の乗換案内アプリなど「レベル1:情報の統合」のものまでしか実用化されていませんが、多くの企業が「レベル2:予約、決済の統合」に向けて既に動いています。

具体的な動きについて説明する前に、このMaaSが実現すると、どのようなメリットが発生するのか、併せて実現するに向けて出てくる課題点について見ていきましょう。

MaaSのメリット、課題点

MaaSが実現した場合、私たちの移動がよりスムーズになることはこれまでの内容でわかると思います。ですが、メリットはそれだけではありません。幾つかご紹介しましょう。

MaaSのメリット

交通弱者対策になる

交通弱者とは、子供やお年寄りなど移動手段が公共交通機関などしかない人や、車社会である地方で自家用車を持っていない方々などを指した言葉です。例えば、電車なら都市部だと数分おきに電車が走っているから不便に感じることはないと思います。ところが、地方になると一時間に一本しか電車が走らない路線などが数多く存在します。(中には1日に3本しか走らない路線などもあります。)これは、車社会で電車の利用者が少なく、路線を管理している企業も少しでも赤字を削減するために本数を減らして対応しているためです。

MaaSが実現すれば、電車やバスなどの公共交通機関を元に、タクシーなどを利用しやすい形で提供することで、交通弱者の人たちが外出しやすくなるだけでなく、地方の電車やバスなどの公共交通機関が新たな需要を得ることに繋がり、事業の継続をしていくことができるようになります。

交通弱者であるおじいさんの手の画像

交通渋滞の緩和、環境への負荷低下

都市部ではたびたび数十キロにも及ぶ渋滞などが発生します。これは人口が密集し各々が輸送効率の悪い自家用車を使用して移動してしまうからです。(もちろん事故や道路の修繕などの理由もありますが)MaaSが実現すると、これらの渋滞の緩和や、さらには輸送効率の高いバスや電車の利用が伸び、自家用車を使用する人が減ることで環境問題への対策にも繋がります。

自動車の交通渋滞の画像

観光地の利用客増加

観光地では、MaaSを使用して移動手段に合わせて施設利用料などもアプリ一つで予約、支払いをできるようにすることで、観光客の増加につながると期待されています。また、観光地などの営業時間などに合わせて、需要に合わせた公共交通機関の便を増減させることで観光地全体の満足度を上げることができるといわれています。

観光地の船の画像

以上が、大まかなメリットになります。これだけのメリットがあるなら、すぐにでも実施すればいいじゃないか。と思う方もいらっしゃると思います。 では今度は反対に実現に向けての課題点も紹介しましょう。

MaaSの課題点

技術開発

最初に出てくる課題はまさにそこになります。MaaSを実現するためには、日々更新されている膨大なデータを基に、利用者に対して適切なルートを提案できるシステムがなければなりません。言葉だけでもわかる通り、一朝一夕でできるものではありません。MaaSが実用化されるにはまだ少なくとも数年の期間が必要になると思われます。

PCの画像

国と企業、企業と企業間での連携

これも大きな問題の一つになります。前述してある「MaaSのレベル」の最終段階である「レベル:4」を達成するためには国や企業同士の連携が不可欠です。MaaSのガイドラインの整備や法の整備。企業との意見のすり合わせなど、こちらも同じようにすぐに解決できることではありません。世界的にみても「レベル:4」を実現している国は存在していないことからも、技術開発以上に長い年月が必要になると思われます。

ここに書いたこと以外にも、課題点もメリットと同じように多数存在しています。日本でのMaaSはまだ黎明期であるということを覚えておいてください。

では最後に、実際に世界各国のMaaSの取り組み、日本での取り組みを見ていきましょう。

ビジネスマンが握手している画像

MaaSの実用例

海外の動き

世界初めての「MaaS」アプリ。フィンランド「Whim」

Whim」とはオーロラで有名なフィンランドの首都、ヘルシンキで実用化されているレベル3の「MaaS」のアプリです。2016年から試験的に運用を開始し、2017年11月から本格的にサービスを開始して2018年の時点で会員数は約3万人、ダウンロード数は5万にも上っています。また、2020年から日本でも実用化に向けて一部地域にて実験的にサービスを実施しています。

自動車配車プラットフォーム「Uber(ウーバー)」

アメリカで作られた「Uber」は、空いた時間を利用してタクシーのような移動サービスを提供したいユーザーと、配車を希望するユーザーを繋ぐアプリです。アプリで簡単に配車することができ、また自動でクレジットカード決済を行なってくれる手軽さで人気となり、現在では世界70カ国、450都市以上で利用されています。

日本での取り組み

小田急電鉄「EMot(エモット)」

日本で一番実用化に近いと思われる「MaaS」アプリがこの「EMot(エモット)」 になります。EMotでは、鉄道やバスに加え、タクシーやシェアサイクル等を組み合わせた経路検索ができるほか、経路検索結果から連携しているアプリ・サイトへ遷移して、モビリティの予約・決済が可能になっています。 実はこのEMotは2019年10月から2020年3月まで実証実験を行っており、早ければ来年にも実用化される見込みとなっています。

JR東日本とANA

JR東日本とANAは2019年8月にMaaSの展開に向けて 展開、構築にお いて連携していくことで合意 を決めています。
まだ、具体的なアプリなどの発表はされていませんが、モバイル端末などを使い検索・予 約・決済などをシームレスに行える「陸と空」が連携したサービスを作ろうと動き始めています。

まとめ

MaaSとは色々な交通手段を一括で検索から支払いまでを行えるようにする新たな交通の仕組み。

MaaSには5段階のレベルがあり、世界ではレベル3のものがあり、日本ではレベル2の実現に向けて動いている。

MaaS には交通が便利になるだけでなく、交通弱者対策、交通渋滞の緩和、環境への負荷低下、観光地の利用客増加、などのメリットもあるとされている。

・日本でMaaSを実現するには技術開発 、 国と企業、企業と企業間での連携 などまだまだ使えるようにするには課題が数多く残っている。

いかがでしたでしょうか?
日本では他にもトヨタ自動車やソフトバンクなど多くの企業が「MaaS」について取り組んでいます。いつの日か日本のどこでも使えるような大規模な「MaaS」が作られて運用される日が楽しみですね。
では、読んでいただきありがとうございました。

作者情報

小説と音楽をこよなく愛する本の虫。一週間本を読んでいないと死にそうになる。最近行った大きな本屋で買った日本神話に出てくる「ヒルコ」についての本にハマって日本神話の関連書を読み漁っている。