【体験談】ITパスポートは役に立たない!? 資格取得のその後1年

1. はじめに

IT企業に転職を考えている人、または既に働いている人はITパスポートという資格を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、ITパスポートがどんな資格か気になってGoogleで検索に入れてみると……

GoogleでITパスポートを検索した画面

上記のように、「意味ない」とサジェストに出てきてしまいます。このことから、本当に役に立つの?と不安になっている方も多いかと思います。

そこで今回は、ITパスポートは本当に意味ないのかについて、実際に取得して1年以上経過した私が資格取得の「その後」についてお話していきます。おすすめの参考書や勉強法などについて書かれた記事は沢山ありますが、取得後のことについて書かれた記事は少ないです。本記事は取得の先について書いていきますので、キャリアプランや就職活動にお役に立てたら幸いです。

2. ITパスポートとは

ではまず、そもそもITパスポートはどんな資格なのかという話から見ていきましょう。ITパスポートの公式HPによると、

ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験

ITパスポート試験|iパスとは

と記載してあります。そう、Iパスはれっきとした国家試験なのです!国が働く社会人に情報技術の知識を持っていてほしいから行っている試験です。資格を発行しているのはIPA(情報処理推進機構)という独立行政法人です。IT系の資格は様々ありますが、ITパスポートは行政として行っていることからも、信頼のおける資格と言えるでしょう。

ITパスポート合格証の一部抜粋
合格すると経済産業大臣の名前が入った賞状がもらえます。

3. ITパスポート取得したメリット5選!

では、本題に入っていきましょう。私がITパスポートを取得したのは2023年2月で、この記事を執筆している2024年5月は1年と少し経過しました。そこで私個人の肌感として得たメリットを5つ紹介します。

1. 日常生活に役立つ

初手ですが本当に実感します。ITパスポートの勉強はハードからソフト、ビジネス構造までととにかく幅広く、その分野の根幹的な箇所をつまんでくれています。私は引っ越しを経験したのですが、家にWi-fiを導入する時、最大通信速度や各機器の役割をわかっていることで、ルーターの選び方や初期設定などが自分ですることができました。他にも、データベース操作の項目で得た知識は日々の家計簿の作成などにも役立っています。

2. 原点から最近の世の中のトレンドまでわかる

他の資格にはない醍醐味だと思います。というのも、IT業界は現在もすごい速さで変化し続けています。しかし、AIが世間を震わせている昨今でも「コンピュータってどうやって動いているの?」という根幹的な部分は80年前の黎明期から変わっていません。

ITパスポートはこういったそもそも論から最近トレンドになっているワードまで網羅しているため、取得のための勉強をすることですぐに且ついつまでも役立つコンピュータへの理解が得られます。

3. これを勉強しているだけでITリテラシー上位に入れる

Googleに入力すると「役に立たない」とサジェストに出てきてしまうIパスですが、「じゃあ、実際にITパスポート並みの知識を持っている人はどれくらいいるのか?」というお話を、データをもとに見ていきましょう。

IPAのホームページに公開されている統計情報によると、平成23年11月から令和5年の11年半のITパスポート総受験者数は1,490,791人、総合格者数は760,146人となっております。
ITパスポート試験|統計情報 より

ITパスポートは平成21年に始まった資格ですので、統計に乗っていない2年半を考慮しても開始以来の総合格者数は86万人には登らないでしょう。

厚生労働省の統計によりますと、令和3年時点で労働人口は6907万人とのことなので、ITパスポートを実際に持っている人は日本の総労働人口のおよそ1.2%となります。

勿論、取得していない人が他のIT資格を保有している可能性も十分ありますが、上記の割合から、ITパスポートを持っているだけで社会人の中でも十分「ITに詳しい方」に入れることがわかります。ITパスポートなんて持っていても……と卑下せず、自信を持ちましょう。

4. IT業界での仕事が楽になる

ここまでは社会人全般に適用できる利点を紹介しましたが、以降はIT業界を目指す方、または既にIT業界で働いている方向けの内容となります。

私はIパスの勉強しているとき、「こんなの日常生活で出てこないし、覚えて何になるの…?」と感じる箇所が多々ありました。

しかし、実際に業務をしていると、サラッと「あ!これITパスポートで出たやつだ!」と気づく場面に多く遭遇します。しかも、実際の現場は丁寧に教えてくれませんので、「ITパスポートの勉強をしていたから理解できた」という場面が非常に多いです。

現場でわかる知識、経験は断片的で偏っています。学生でプログラミングを学習されている方や既にITの仕事をしている方も、業界全体のことを知る機会はなかなかないと思います。既にPCに自信がある方でもITパスポートのための勉強をすることで、仕事で使うあれこれについて、より根本的に理解し、できることが増えるかと思います。

5. 興味ない分野がわかる。

逆説的ですが、かなり本質的に感じております。 IT業界に転職を考えている方で「IT業界に入って何がしたい?」と問われて困る人も多いかと思います。イメージが漠然としていて方向が定まらない方、Iパスを受けましょう!

ITパスポートの勉強は幅広い分野を勉強する必要があるので、勉強しているうちに自然と「興味ない」分野が見えてきます。私の場合ですと、

「アルゴリズムの計算は好きだけど、ネットワークが興味持てないな」

⇒「よし!ネットワーク方面を目指すのはやめとこう!」

と、目指さない分野が明確になりました。

3. 取得したデメリット

これといってデメリットは思い浮かびませんが、持っていて自慢できる資格ではないことは確かだとは感じます。特にIT業界で働いている人は基本的にITに詳しい人が多いと思いますので、その中で「持っているからすごい」とは基本的に思われないでしょう。ただ、Iパスを持っていることで、「基本的なことはわかる」という安心感を周りに与えることはできると思います。

4. まとめ

以上が、私がITパスポート取得から1年少し経過して得た実感です。もともとITに詳しくなかった私がIT企業でエンジニアをできているのも、ITパスポートのおかげだと思っています。非ITの企業で働く人にも、学生にも、IT業界で既に活躍している人も、是非勉強して損はない資格だと自信を持って言えます。

作者情報

とりあえず体験してみるフットワークの軽さが取り柄。音楽は室内楽からメタル、電子音楽までくまなく手を出しており音響編集に精通。