今回は自身の経験に基づいた、手順書作成業務について簡単に説明したいと思います。

はじめに

手順書作成業務と聞いて、何を思い浮かべるだろう。私が、そのプロジェクトに参画したとき、「たかだか取扱説明書作りにチームを作ってやるほどの業務なのか」と、そう思っていた。しかし、1年半プロジェクトに携わり思ったことは、「手順書業務とは、考え方、取り組み方次第で、自分自身を大いに成長させることが可能な業務」であるということである。

今回は手順書業務について、上記(目次)の構成で説明し、読者に少しでも「手順書業務についての理解とイメージ」がしやすくなればと考えている。

1.手順書作成業務とは

手順書作成とは文字通り、対象のモノや、ソフトウェアツールの取扱説明書を作成するという認識で間違いはありません。説明書作りに、プロジェクトを組んでまで、業務として落とし込むニーズがあるのか。

 答えはYESです。

 とりわけIT業界において、手順書作成業務はおそらく、なくなることはない業務と言っていい。その大きな理由が、流行りと廃りが非常に顕著な業種であることがあげられる。去年まで流行っていたものが、今年に入り、レガシー(時代遅れ)となるケースは少なくない。日々アップデートしていく中で必要となるのが、読めば素人でも扱える説明書、ないし手順書である。

 優良な手順書があれば、業界未経験者を立派なエンジニアに出来るのである。慢性的な人手不足に陥っている昨今、手順書作成業務はそのような時代にもマッチしていると言っていい。

優良な手順書を利用することで業界未経験から立派なエンジニアになった男性のイラスト

 この手順書作成は何もIT業界特有の業務というわけではない。建築物と一緒で、使用しているツールも年数ごとに劣化を起こす事は勿論、デザインや機能性の流行も変わってくる。特に信用、信頼を重視し、日本経済を引っ張っていく立場にある上場企業においては、システム一つ取っても、古いものを扱えば停滞しているとみなされるケースもあるかもしれない。したがって、日々進化を求められる企業にとって、手順書作成は非常に重要な業務であると、そうイメージすることができるのではないか。IT業界において、とりわけ手順書作成業務が不可欠であると認識することは想像に難しくない。

2.業務内容

手順作成のほぼ全ての業務は、「旧システムから新システム移行に伴う、手順書の作成」である。変わってくる点はボリュームである。単一システム、複数システム、業務集約システムなどがあげられる。

 まずは業務の流れを見ていきたい。業務サイクルとして、まず旧システムの理解から始まる。必要ないかもしれないが、だいたいのアップデートが、旧システムを踏襲しているケースなのである。共通点、相違点を洗い出すことが最初に行わなければならない。

 次に実際に新システムを理解し、手順書作成に入るのだが、ここからは、実際に旧システムを扱っている人や、新システムを構築している人たちと必要に応じて打ち合わせを行う。そうして組み上げた草案を手順書に落とし込み、手順書のプロトタイプを完成させる。

 完成させたプロトタイプは、数回にわたりチェックが入る。実際にその手順を行い、実装可能か見極めるのである。ここで躓くケースも少なくはない。チェックをパスすれば手順書作成のサイクルとしてはひと段落である。

手順書作成のフローチャート図(手順書の落とし込みから運用最終確認まで)

このサイクルを手順書の数だけ行うのが、業務の流れであるが、それぞれの行程でイレギュラーが起きることは非常に多い。

代表的なイレギュラー

  • 急遽新システムに導入されなくなった
  • システムの追加
  • 運転や取扱者の説明漏れ
  • システム上セキュリティ問題によるパスやIDが付与できない
  • 安全性

こうしたイレギュラーにより、せっかく作成した手順書でも「廃止」とならざるをえないものもあるが、当然納期もあるので、時間内にそうした壁を一つ一つ解決していくことが、この業務では必要である。

手順書作成の流れ(一例)

手順書作成の一例を表した図

3.メリット

手順書作成業務のメリットや、実際に参画した際に是非実践してほしいことを紹介していこう。

まずメリットですが、

  1. 実際に使ったことがないシステムを使用すること、理解することが出来る。
  2. 文章作成能力の向上
  3. コミュニケーション能力、調整力が身につく。
  4. ※管理表等の作成

実際に使ったことがないシステムを使用すること、理解することが出来る。

手順作成業務の最大のメリットであると思う。たいていの場合、実際に触ったことがない、勉強したこともないシステムの手順書作成を任される。もし、本来そのシステムを身につけたいと思うのであれば、ネットで調べたり、参考書を購入したり、人脈を頼りにご教示願ったりというのが一般的である。しかし、手順書作成業務は、その性質上、長年そのシステムに携わった人たちから、システムについて学ぶことが出来る。

また学んだことを手順書に起こすことで、自然な流れでアウトプットまで、業務の中で行うことが可能なのである。もちろん自分の畑違い、または興味のない手順書作成を任されることもあるが、それはそれでまた新たなチャレンジとして捉えることが出来れば、また異なる考え方や視野が広がるチャンスにもなりえるのである。

文章作成能力の向上

システムについて理解し手順書作成を行う場合、まずやりがちとなってしまうことは、自分があまり理解していないところを、エンジニアから教わった通りの言葉で記載してしまうことです。特に横文字や英文字は、この業界において非常に多く、混乱を起こしかねないものとなっている。

代表例

  • ノード名、ホスト名、IPアドレス、アラートログ
  • pingをかける、SUで入る、ディレクトリパスを控える、teratermを閉じる、ブラウザを閉じる。など
IT関係の業務作業が分からず悩む男性のイラスト

日本語で伝わらない場合は図説を用いる。日本語で表現できる場合は、きちんと理解し、しっかりした日本語での記載を心掛ける。手順書作成業務は筋道の立った日本語の文章、且つ誰でもわかりやすい文章力を身につける最高の場である。

コミュニケーション能力、調整力が身につく。

前述にもある通り、手順書作成業務は、非常に多くの人やチームと関わって仕事をしなければならない。プロジェクトの一番下で、振られた仕事のみをこなすのであれば、それは非常にもったいない行為だと思う。自分のできる範囲で、少しずつ上司の仕事を巻き取っていければ、コミュニケーション能力や調整力を磨くことが大いにできる環境を手に入れられるのである。

管理表等の作成

最後の項目ですが、「※」印がついているのには理由がある。これは作成業務での自身の立ち位置や取り組み方次第で任せていただける項目となっているからである。手順書作成の規模によるところもあるが、半年から1年のスパンで成果物を求められる現場であれば、まずボリュームは大きいものになる。その場合、業務の性質上、管理表が複数必要となってくる。また追加注文も少なくないので、管理表をアップデート、新規作成することが多い。

手順書作成で使用するものは、現場によって異なるが、大抵Microsoftエクセル、Googleスプレッドシートであろう。そこで管理表の作成や、手順書作成に必要な簡単なツールの作成を依頼されれば、自分の成長につながる。特に、IT業界自体、日が浅い人にとっては管理表作成、簡単なツールの作成は今後のIT業務キャリアに極めて役立つことになるだろう。

まとめ

手順書作成業務について、3項目にわたり説明してきたが、成長できる、メリットを享受するのは、結局自分次第であることは忘れてはならない。参画して、任されたものだけをこなしているだけでは、四半期で退場する場合だってある。自分がこのプロジェクトで必要とされる存在になる。これは手順書作成に限ってのことではない。業務を行う上で、体調管理と積極性、意欲、これらがあれば技術がなくても手順書作成業務は可能である。それらを武器に、プロジェクトに参画する機会があれば、是非、携わる人たちとコミュニケーションを取って、技術を身につけてほしい。

作者情報
趣味はスポーツ観戦! 好きな食べ物は秋刀魚とハラミです。もぐもぐ。