はじめに

医療・福祉関連施設・事業所では、記録や請求書等を紙で書き込んでから専用の電子媒体へ入力している法人も多いのではないでしょうか。
私が以前勤めていた施設でも、記録などの作業に追われてしまい、事務的業務量の負担となったり利用者様へ必要なサービスが行き届かったりすることが多くありました。
効率化を図るためにICT化を進め、利用者の皆様へ必要なサービスを提供していくことができるようにしていくにはどうしたらよいのでしょうか?
今回は電子カルテにスポットを当てて、医療や福祉の現場のICT化についてご紹介していきたいと思います。

ICTを活用するとは

ICT(Information and Communication Technology)とは情報通信技術のことです。医療・福祉分野では患者、利用者、家族、医療機関、介護施設等のネットワーク化による情報共有や活用に使われております。
情報共有ツールとして使われているのが電子カルテですが、それ以外にもスマートフォンやタブレット、かかりつけ医連携等の専用アプリといったICTを活用している法人もあります。

電子カルテってどんなサービス?

電子カルテは、昔ながらの紙媒体に医療情報をまとめた”カルテ”を電子データとしてまとめたものです。医療のICT(情報通信技術)化と聞いて一番に思い浮かべるものはこの電子カルテではないでうしょか。
単に文字情報の記録や管理をするだけでなく、レントゲンのデータを現像することなく電子データとして画像をカルテ内に取り込むことも可能です。

パソコンで電子カルテを操作している人物の写真

電子カルテができること

  • 医療の各部門(診療部門、看護部門、医療技術部門(薬剤、検査、放射線、栄養、リハビリ))で情報の共有がスムーズに行えて業務を効率的に処理できる
  • 患者の病状や治療経過等の様々な情報を電子データとして保存できる
  • 保存された情報をPCやタブレット等のデバイスで検索、分析をすることができる

「標準的電子カルテ推進委員会」最終報告(案)

電子カルテを導入するとどうなる?

電子カルテを導入することで最終的には自分たちの負担を削減することに繋がります。

情報共有がスムーズに

3名の医療関係者がパソコンを見ながら打合せしている写真

医療や介護の現場には多様な職種の人が勤めています。小規模の介護施設であっても介護福祉士、ケアマネージャー、栄養士など利用者一人に対して立場の違う人が部門ごとに対応にあたります。情報を共有するのは至難の技です。電子カルテではたくさんの情報を入れることができ、デバイスさえあれば離れた部屋からでも情報を確認することが可能です。

カルテが軽く、探しやすくなる

電子カルテは紙媒体と異なり、重くもなくかさばりません。検索機能を使えば欲しい情報をすぐに見つけ出すことができます。それだけでもカルテを探す労力の削減につながるはずです。

いいことだけではない

いいことばかりのシステムならすぐに導入したいところ…。導入するサービスによっては膨大な費用がかかることもあります。
うまく導入できたとしても運用のを軌道にのせるまでに時間や労力が余計にかかることも考えられます。導入の際はしっかり計画を立てることが大切です。

実際に電子カルテを導入してみた結果

私が以前関わった法人で電子カルテを導入した時は、うまく運用できるようになるまでに時間を要しましたが、業務が効率化されサービスの質が向上しました。
従来の紙のカルテと比較すると、紙の保管が不要になり作業スペースを増やすことができました。そして検索機能により従来の紙媒体よりデータを探しやすくなりました。

導入時の反省点

  • 現場にいるすべての職種の方が電子カルテを使えるようにマニュアルを作っておけばよかった
  • 電子媒体に保存できないカルテを使用する時にデータを探すのに手間がかかってしまった。すべてのデータを電子媒体に保存しておけばよかった

電子カルテの普及率

では、現時点での電子カルテの普及率を見ていきましょう。
主に病院や診療所などの医療機関で利用されています。

「電子カルテシステム等の普及状況の推移」(出展:医療施設調査(厚生労働省))

病床規模が大きいほど普及率は高くなっています。クラウド型電子カルテやベンチャー企業の参入もあり今後も普及が進むと言われています。

小規模の病院だと導入に尻込みするかもしれませんが、医療従事者は減っているので新しいシステムを導入して業務効率化を進めていかないと生き残ることはできません!

分野別ICT活用

ここからは実際のICT活用事例を電子カルテを中心に分野ごとに紹介していきます。医療・介護の現場に勤めている人はぜひ自身の業務と照らし合わせて参考にしてみてください。

看護師と車いすに乗った老婆が微笑んでいる写真

高齢者分野

岡山県にある某福祉法人では、電子カルテを導入していました。具体的な部署として、デイサービスセンターや在宅支援センターが挙げられております。電子化にすると、

記録の管理や請求などの業務負担が軽くなり、その分サービスの質など他業務の改善に当てる事ができます。

障がい者分野

石川県にある某こども福祉センターで電子カルテを導入しています。具体的な部署として、心身障害者、障害児施設が挙げられています。電子カルテを導入した理由は、紙カルテの保管が困難であり、多職種連携が上手くいかなかったためだったようですが電子化にすると、看護師から他職種への指示も明確に伝わるようになり、利用者様へ安全性の確保や業務の効率化につながったようです。

児童分野

大阪府にある某療育施設でDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれるICTを活用しています。DXを導入した理由は、紙媒体での記録管理や請求などの業務負担が大きいという理由でした。DXでサービス記録や請求書を保護者へ連絡票をデジタル化で管理することが出来、双方で確認漏れがなくなったようです。

今後どのようにICT活用を広めていくのか?

パンフレットの上に聴診器とボールペンが置いてある構図の写真

政府は2021年9月1日に「デジタル庁」を創設予定しています。デジタル改革に向けて社会保障分野において電子化を推進していく方針です。これにより医療従事者側では事務的業務を簡素化できるため、サービスの質もあがるかもしれません。

将来的に、個人でも健康管理や地域とのつながりをもてるようにPHR(Personal Health Record)というモデルを総務省で推奨を検討しています。
わざわざ病院まで足を運ばずに、スマートフォンやパソコンで処方箋の管理や請求、個人の健康が確認できる時代がくるかもしれないですね。

おわりに

今回、医療や福祉のICT活用についてみてきました。実際の現場業務では、紙媒体を利用している事業所や施設が多くありましたがICTを活用することにより、事務的業務を効率化が図られ、質の高いサービスを利用者様へ提供できることがわかったと思います。
また、行政もデジタル化を推進しておりますので、今後ますますICTを活用していく事業所や施設が増えていき、利用者様へ質の高いサービスを提供できる未来が待っているといいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。

作者情報
スポーツとビール大好きなエンジニア見習い。 球技やジョギングをしたあと、ビールでリフレッシュしています。 最近、クラフトビールにはまっており専門店で飲んでます。
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