公開日2022.01.05
最終更新日2022.10.05
はじめに
私は、パソコンにあまり触れることのない介護職から、IT企業に転職した30代です。 そんなまったく違う業種からIT企業に転職し、研修の中で出会ったのが「デザイン思考」。 研修カリキュラムの中のデザイン思考研修に参加することで、入社一か月で簡単ではありますがデザイン思考を実践することができました!
又、同時期入社のエンジニアとの交流も深まりました。
私と同じように、年齢や経験、あるいはどんな企業なのかわからずIT業界を諦めていた方は少なくないと思いますので、この経験をみなさまにも共有したいと思い、レポートにまとめました。
この記事ではそんな方々へ、デザイン思考がそもそも何なのか、BREEZEGroupではどんな形で研修を行うのか、その目的やメリットについてご説明します。
デザイン思考(designthinking)とは
デザイン思考とは、問題定義・共感・アイデア・プロトタイプ・テストの5つのプロセス(工程)を経て、全ての人のあらゆる問題解決を行う方法の一つです。
この方法は、コストが抑えられ、リスクも低く、やり直しも可能であるという強みがあります。
又、特定のユーザーの問題を抽出するところから始めなくてはならず、利益が得られるかどうかの判断がつきづらいという特徴もあります。
類義語として「アート思考」がありますが、デザイン思考との違いはユーザーニーズに答える必要があるか否かにあるといえます。
研修の目的
デザイン思考を学ぶ目的は、人々の「悩み」「欲しい」「したい」などのニーズに答え、売れる(ヒットする)製品やサービスを産み出すことです。
その為には当然、人々が必要としているものを作成するのですが、世の中には既に考えられるだけの便利なモノ・サービスが溢れており、ヒットさせる事が難しい時代になってきました。
そこで、人の抱える真の問題を掘り出し、解決させるアイデアを引き出す為、今回デザイン思考研修に参加してきまた。
研修の内容
デザイン思考研修は2つの最終目的を共有してから始まりました。
- 問題定義・共感・アイデア・プロトタイプ・テストの5つのプロセスを実践する
- 研修の中で問題解決のアイデアを形にする
活動期間は5日間、同時期入社のメンバーでグループを作ります。
「グループで」という言葉に抵抗感を抱いた方も多いのではないでしょうか。私もそのうちの一人なので、気持ちはよく分かります。
しかし、初日のアイスブレイクを行う為、意外とすぐ打ち解けました。
アイスブレイクとは、その名の通り緊張を壊す作業です。自由な話題で雑談することで、自由なアイデアが産まれやすくなる効果があります。コツは、オープンマインド・チャレンジ精神・全力で楽しむことです。
問題定義
ある程度緊張がほぐれたら、1つ目のプロセスである「問題定義」。役割分担とニーズとなるテーマの決定です。まずは、役割を分担します。進行(舵を取り、発表する)、議事録(ワークシートに書き込む)、タイムキーパー(スケジュールを管理する)、ファシリテーター(全体の流れを理解・良くする。不在でも可)、アイデアマン(とにかくアイデアを出しまくる)に分かれます。私の参加したグループでは、各々が5秒ほどで自らの役割を決めました。
人は、本能的に自分の能力を理解しているのだと感じた瞬間でした。
次に、テーマを決めます。私の参加したグループでは、「リモートワークに関するニーズ」に決めました。
リモートワークにはどんなニーズがあるのでしょうか。
共感
2つ目のプロセスである「共感」では、ユーザーの気持ちに共感・観察し、実際にインタビュー(リモートワークでどんなことに困っているか、どんなものを必要としているか等)したりします。
次にブレインストーミング(複数人でアイデアを出し合う作業)でニーズの中の問題点を探し出す工程。
従来は、模造紙やホワイトボードに、アイデアを書いた付箋をペタペタ貼りまくっていましたが、数十~数百のアイデアが飛び交う中、いちいち書いていられません。環境破壊もはなはだしく、ペーパーが勿体ないのでアイデアを出したくなくなります。
そこで、お勧めのアプリがGoogleJamBoardです。全員が簡単且つ自由に共有・編集出来ます。
リモートで行う場合は、GoogleMeetと併用するとスムーズです。
ブレインストーミングのコツは、アイデアは質より量・自由奔放・否定しない・便乗して広げることです。
ある程度問題点を見つけ出したら、それらを元に着眼点を考えます。つまり、出てきた問題の視点を変え、真の問題を洗い出すということです。更に、問題点を解決させるためのアイデアを、とにかく沢山出します。最終的に私たちのチームではリモートワークというニーズの中で、ユーザーは「運動が続かないこと」を問題と感じていることに気づきました。
着眼点が決まったらニーズの中の問題点を強く感じているユーザーをよりリアルに引き出すため、ペルソナ作成を行います。
ペルソナとは、ターゲットとする典型的なユーザー像のことです。
ペルソナ作成とは、ペルソナが実在しているかのように仮定し、年齢・性別・居住地・職業・役職・年収・趣味・特技・価値観・家族構成・生い立ち・休日の過ごし方・ライフスタイル等々、実際のデータに基づいて細かく設定していくことです。
ターゲットを絞ったら、解決が必要であろう問題を掘り出し、更に真の問題を掘り出します。
問題が出たら、解決させるためのアイデアを出しまくります。
ちなみに私のグループでは、実際のデータに基づいて出したペルソナを、下記の分析から「神奈川県出身、都内在住20代女性の鈴木美咲さん」に設定しました。
〈具体的なペルソナ作成例〉
- より多くの人にサービスを提供したい→人口の多い東京在住に設定
- 東京にいる人は本当に東京に住んでいるのか→都内在住の約半数が上京してきている
- どこから上京してきたか→神奈川県からの上京が一番多く、単独女性が多い
- 名前→最も多い苗字と、今回ターゲットとなる20代半ば女性の、最も多い名前ランキングより引用
このように、実際のデータを用いて作成します。
アイデア
3つ目のプロセスである「アイデア」のプロセスでは、「共感」のプロセスで洗い出した問題点をどうやって解決していくのかの解決方法を話し合う工程。ここでもJamboadやGoogleMeetなどのツールを使ってブレインストーミングでグループワークを進めます。
問題点を解決させるためのアイデアを、とにかく沢山出します。アプローチ方法を変えるなどして、案を出し合った後はカテゴリー分けを行いある程度アイデアを絞り込みます。最後はグループ内での投票から、運動しやすい環境づくりを助けるアプリケーションの作成をすることにしました。
プロトタイプ
ここで出たアイデアを実際に形にするのが、4つ目のプロセスである「プロトタイプ」(試作品・仮組み・デモンストレーションの意味)です。
運動しやすい環境づくりを助けるアプリケーションの作成のプロトタイプはAdobe XDで作成しました。
あくまで「デザイン思考」の研修ですので、プロトタイプのクオリティーは問われません(アプリケーションの詳細については割愛します)。
テスト
次はいよいよ最後、5つ目のプロセス「テスト」です。
ユーザビリティテストと言い、開発に関わっておらず、ペルソナ像に当てはまるユーザーに試してもらいます。そうすることで、先入観の無い率直で新鮮な意見が出てくることがあります。
ユーザビリティテストの結果を基に分析し、インタビュー結果を反映させた改善を行い、プロセス終了となります。
デザイン思考研修での気付き・ポイント
一つの優れたアイデアよりも、小さなアイデアを出し合って大きくしていく方が偏りも少なく、より良いものが完成していくと感じました。
プロセスを進めていく際のポイントは、全ての工程に時間制限を設け、グダグダ感を程よくなくすことです。自然とその時間を目指してメリハリつけて作業することが出来ました。
デザイン思考研修を学ぶメリット
- 自力で考え、調べ、発信する力(情報リテラシー)が向上する
- 共感力、コミュニケーション力が上がる
- 積極性が身につく
- 他人の意見、知識が勉強になる
- 物事を違う視点から考えられる
- 短時間で沢山のアイデアが浮かぶ
たった5日間の研修でしたが、私は以上のようなメリットを実感しています。少なくとも、デメリットになる要素は見つかりませんでした。
強いて言えば、時間と電気代がかかることくらいでしょうか。
まとめ
作業の流れをおさらいです。
- 共感(意見交換、インタビュー)
- 定義(着眼点の決定、ペルソナ作成)
- アイデア(アイデア洗い出)
- プロトタイプ(試作品作成)
- テスト(ユーザビリティテスト)
商品やサービスがヒットするかどうかの裏付けとして、最も重要なプロセスでもある、ペルソナを中心にして開発が進められていきました。
ぺルソナは基本的に実際のデータに基づいて作成しますが、細かな設定を進めていくうちに、欲しい情報がピンポイントでヒットしなくなってきます。
そうなってくると、つい自分の知識や経験から出る偏見的なペルソナ像が仕上がります。
やむを得ず偏見を行う際は、何故その設定なのか理由を言えるように意識すれば良いと思います。
さいごに。
楽しく学ぶことが研修のメリットでもあり、自分の進路を導き出すきっかけにもなります。探してみるとデザイン思考を体験できるワークショップなどもあるみたいですよ。
みなさまも是非、機会があれば参加してみてはいかがでしょう!