AIによる無人コンビニ技術の現状~実際に無人コンビニを体験して~

AI事業の拡大と来年のラグビーワールドカップに関心があるベガです。
前回に引き続き、無人コンビニについて取り上げようと思う。
2018年10月17日にJR赤羽駅に試作無人コンビニをオープンさせたサインポスト株式会社(以下サインポスト)が開発する「スーパーワンダーレジ」を実際に体験してきた。
その体験を経て、無人コンビニのリアルな現状や、これからの見通しについて考えてみようと思う。

はじめに

あらゆるメディアから発信される「AI化」というワードだが実際のところ、どこまで進んでいるのかは案外わからないものである。
そこで、今回の体験を踏まえてAI化がどこまで進んでいるのか、どの程度のクオリティーなのか、無人コンビニという切り口から一つのAI技術の“今”を覗いてみたい。
今回の検証についての具体的な方法だが、10月、11月とそれぞれ1回ずつ体験し、その改善スピードをみることにある。
これで、少々乱暴ではあるがざっくりと開発スピードが見て取れるのではないだろうか。

検証1日目(10月19日)

オープンして3日目、整理券を発行しなければならないほど老若男女の長蛇の列ができており、入店に40分の時間を要した。その反響からも、決して多くはない情報をキャッチして熱心に足を運んでいる方々から、日本人の無人コンビニに対する興味や関心度が見て取れた。
ICカードをかざして入店するのだが、どことなく未来感があり、見た目のフォルムや醸し出す空気は30歳を過ぎた私でもテンションがあがるというものである。
店内は目線上では、いわゆる普通のキオスクのような商品が陳列されていたが、天井をみると、おびただしくカメラが設置されており、ここでも未来感が散りばめられていた。
検証のため、全ての棚から一品ずつ、そして全く違う品物を買うことにした。
またリアルさを出すために、品物を取ったり戻したり、駅のホームという設定なので、カゴは使わず両手に持てるだけ持って(気持ち多めに)買い物をすることを心がけた。
実際に買い物をして決済モニターをみると、私が所持している品物は全て認識していた。
が、私の覚えのない品物も3点ほど含まれて、モニターに映し出されていた。
モニターの編集画面で買っていないものを削除して、ICカードで決済し、店内をあとにした。
一回目の検証結果として、やはりカメラによって、全ての商品を識別する能力は、実証実験開始から3日では難しいようであった。
また、AIに学習させている段階である以上、人の行動パターンを読み取ることも難しいと思われる。ただ一ヶ月後どのように変化しているか一層楽しみにはなった。

検証2日目(11月22日)

さすがにオープンして1か月以上経過しているので、即入店できた。今回も前回同様に、よりリアルな消費者の動きを意識して同じ物を購入した。
決算モニターには、私が手に取った商品のみが映し出されていた。
半分以上誤差があった前回と比べると、格段に精度の向上が見られる。
前回残念だったことが現場の人と話す時間が取れなかったことである。
しかしながら今回は現場が落ち着いていることもあり、現場の人間と話す時間があった。
その話によれば、精度は抜群に向上しており、ミスの割合は10%前後であることがわかった。
今後についてだが、サインポストは

「今回の本実証実験を通じて、システムの精度向上や無人決済店舗の実用化に向けた課題の確認と解決等、当初の目的を達成することができました。当社は今後も実証実験の成果を踏まえて、小売店舗の運営の効率化と将来的な無人化を目指し、さらに開発を推進してまいります。」

とリリースで開示している通り、小売店に標準をあててレジの無人化の開発をするようである。

まとめ

今回の体験を経て、小売店規模のレジの無人化は、そう遠くない未来に現実化できるだけの技術は備わってきていると思われる。
しかしながら懸念事項もある。
今回の実証実験では、単純に私のような「無人レジでの買い物」を目的とした人が実験対象となった点である。
本来の小売店で想定できる人の行動パターンはより複雑であることは自明である。
子供の動作やウィンドショッピングをする人等の買い物をする動作とはかけ離れた行動パターンや、タイムセールや値引き品に対する迅速な対応、商品を落としてしまったあと別の棚に戻す、棚から消費者への商品の流れではなく、消費者同士が商品の受け渡しをする等の行動パターンにAIが対応できるかは実際わからない。
上記を踏まえ、今後レジ開発競争が激化する中、他社製品との違いをどこで生み出せるか非常に楽しみである。

これからのAI事業について

サインポストの無人レジだけではなく、様々な業界でAIというワードを聞く機会があると思う。
その感覚に間違いはなく、現実に今年上場している企業は、自社業種+AIというのを売りとしている企業が増加傾向にある。
インターネット事業にAIを取り入れたHEROZ株式会社や教育にAIを取り入れた株式会社EduLab、RPA事業とAIを売りにし、満を持して上場したRPAホールディングス、知名度が高い企業でいえば、メルカリやソフトバンクも今年上場した企業であり、もちろん2社ともAIを取り入れていることは周知であろう。
来年はさらに増加すると思われる。
これからは、AIの向上だけに目をむけるのではなく、どのような仕事に、どのようなAIを取り入れるか、いわばAIのコンサルタントのようなこともAI市場を生き抜く上ではいっそう必要なように思う。
今回の無人レジも、実際駅ホーム内のキオスクのような小売店では、消費者の行動はある程度絞られる。
したがって、そこに取り入れるAIはディープラーニング型のAIでなければならないということはなく、消費者の行動パターンを覚えさせた、従来の知識詰め込み型のAIを改良すれば、取り入れることは難しくないように感じる。
AI開発だけがAI事業ではないことが、今回の体験等で感じたことである。次回も何らかの形でAIについて書ければと思う。

参考資料
サインポスト | IR情報のリリースより一部抜粋
会社四季報2019年一集 | 東洋経済

作者情報
趣味はスポーツ観戦!
好きな食べ物は秋刀魚とハラミです。もぐもぐ。