RPAとは

RPA(Robotic Process Automation=ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、ロボットによる業務の自動化を表す言葉です。
これまで人間が手作業で行ってきた単調で単純な面倒な仕事を、ソフトウェアロボットによって自動化し、これまで作業にかかった時間を大幅に削減することができることで、様々な企業から注目されています。

株式会社アイ・ティ・アールが2017年10月に発表した市場規模推移では、2018年は44億円、2021年には82億円と右肩上がりの予測をされています。


出典:ITR「ITR Market View:AI/RPA市場2017」

世界の市場規模というと、市場調査会社TMR(Transparency Market Research)によると、2020年世界のRPA市場は50億ドル(約5500憶円)に達すると予想されています。また、大手経営コンサルティング会社のマッキンゼー&カンパニーによると、今後20年あまりで世界市場で47%の雇用が自動化および機械化される見込み。2025年までに世界で1億人以上のホワイトカラー人材がRPAに置き換えられると予測されており、従来の単調・単純な作業は今後、ロボットに置き換わる日が来ることは予想できるだろう。

注目される背景

なぜ近年、RPAに注目が集まっているのか考えてみたいと思う。
RPAに注目が集まっている最大の理由は生産年齢人口の減少によって、人材の確保が大変難しくなってくるからだと考えられています。

内閣府が発表した『平成28年版高齢社会白書』には、15歳以上65歳未満の人口層を指す生産年齢人口は、2015年から2060年にかけて、約3100万人減少していくと予測されています。


出典:平成28年版高齢社会白書

これまで多くの企業が業務補助などを目的として、BPO(アウトソーシング)や派遣社員を雇ってきましたが、将来、人口減少に伴い、安定的に人材を確保できなくなる時代が来ると考えられています。

業務遂行に必要不可欠な知識や技術、モノやサービスを保証できる技術者や管理者の確保は何処の企業でも喉から手が出るほど欲しい人材ではあるものの、そのような人材は簡単に手に入るわけではありません。

急激な労働人口の低下を防ごうと現在、日本では移民の受け入れ(世界第4位)を拡大してはいますが、主に言葉の壁など、様々な問題があります。


出典:OECDの国際移住データベースを元に作成

人口減少は避けては通れないませんが、従来通りにBPO(アウトソーシング)や派遣社員の人材を確保できる保証がないことから、新しく替わるものとして、RPAに注目が集まるようになっています。

RPA導入メリット

<コスト削減>

RPAの強みの一つとして、人件費の削減があげられます。
人を雇う場合、求人広告を出して、面接・採用、雇用し、また退職したら、また人を雇用するなど、採用コストやその他業務手続等が発生するが、RPAを導入すると、いきなり人みたいに辞めたりすることも、何か手続きが発生するわけでもないということです。
RPAのコストは人件費の1/10~1/3と言われており、下図の例では、フィリピンやインドの人件費より安いといわれています。近年、オフショア開発において、海外で生産されているケースが多いですが、下図の人件費で比較すると、RPAを導入した方が安いことが分かります。また、人を雇うと、昇給など人件費は年々上がることが想定されるので、長期的に先々のことを考えた時に、RPAがなぜ今、注目されているのかが、分かるのではないでしょうか。


参照:Source:Kinetic Consulting Service社資料よりGV独自作成

<パフォーマンス向上>

ストレスや体調を崩して休むなど、パフォーマンスが落ちたりすることはなく、ヒューマンエラーは、ほぼ起きないことがあげられます。人であればパフォーマンス低下の際に、うっかりミスなどを起こしてしまう可能性があるが、RPAではほとんど発生しないということが特徴です。

これまで人の手作業で行っていたものを、RPAの技術でスピーディーに安全に実行することができます。また24時間365日働けることから、夜間の簡単な定期作業など、人の手を煩わせることは徐々に無くなっていきます。

<新規事業へのチャレンジ>

RPA導入することで、従来の業務オペレーションを行う必要が無くなり、他の新規事業にチャレンジすることが可能となります。(ヒューマンリソースの確保)

最後に

よくAIが我々の職を奪うのではないかという話をよく耳に聞きますが、それはまだ少し先の話だと筆者は思います。人間の感情をAIが表現することは、まだまだ大きな課題とされていることもありますが、RPAを導入することにより、これまで人が作業してきた単純な作業が無くなる日も近いと思います。
仕事がRPAに奪われるからと言って悲観する必要はなく、私たちはプラスと捉えるべきだと筆者は考えています。単純な作業から解放されることで、人にしかできない作業に専念できるからです。ただ、懸念するとしたら、AIが人間の感情を理解したとき、私たちは将来、働かなくても良い日が来るのかもしれません。

作者情報

フロントエンドや動画編集スキルの勉強をしている元SIer。
趣味は寺社仏閣巡り。前向きに中国語を学ぼうとしています。